柳田國男 石井徹
言わずと知れた民俗学の大著。
本文が難解な擬古文で、岩波の文庫本で読もうとして挫折したことがあるんだけど、今回判の大きい全訳本が出たということで速攻で借りてきた。
前書きから宇治拾遺物語に言及していて、20世紀の本ながら中世物語集を強く意識しているのが伺える。
訳者前書きでは柳田は古典入りを最初から狙っていたんじゃないかと言うが、まさにその通りだと思う。
内容もこれまた平安時代の物語集か!みたいなノリ。本編が面白いというよりは、オマケ的についてくる「しし踊り」の歌詞に面白みを感じる。youtubeで鹿踊りの動画を見ながら歌詞を読んでいると、不思議とインスピレーションが沸き起こってくる。
実は民俗学と古典の期末レポートのおいしい餌も見つかるんじゃないかという下心もあったんですが、そっちの方面ではあまり期待できない感じでした。使えそうなのは馬と娘の婚姻譚くらいかなぁ。
おすすめ度:☆☆☆☆
王朝文学の楽しみ
著:尾崎左永子 岩波新書
あんまりまとまった本ではないが、引用してくる部分は本当に良い。
特に「和泉式部日記」の冒頭
夢よりもはかなき世の中を、嘆きわびつつ明かし暮すほどに、四月十余日にもなりぬれば、木の下暗がりもてゆく。 築地の上の草あをやかなるも、人はことに目もとどめぬを、あはれとながむるほどに、近き透垣のもとに人のけはひすれば、誰ならむと思ふほどに、さし出でた るを見れば、故宮にさぶらひし小舎人童なりけり。