桜庭一樹
ハヤカワから出ていた気がしたが別にSFとかそういうのではなく、通常運行の少女もの。
「少女」というワードを語らせたら、ほんとこの人の右に出る作家はいないんじゃないかというくらい濃密。
中世ドイツのゴシック・メルヘン少女、近未来シンガポールの二次元美少女、現代のスイーツ()な日本女子高生まで、圧倒的な器用さでさっぱりかっちり文体を使い分けて世界観を構築する手腕には脱帽。あの女子高生のまだるっこい、言語化能力に不足している感じの文体を狙ってやっているとかね。
個人的に一番面白かったのはシンガポールの第二編で、二次元美少女は男たちを精神的に去勢してしまったというネタの取り扱いもさることながら、ちょろっとゴシックな雰囲気とゴスロリの女の子を出してくるのがニクい。
SF成分は物語全体に刺し貫く構造にするためのギミックという感じがしていて、時間SFの設定的なおもしろみというよりは、桜庭一樹の少女語りを楽しむ本という感じ。
☆☆☆☆☆