著:シェリー・ワリア 訳:永井大輔
ポストモダン系の歴史観というのがTwitterで話題に上がったので復習用に借りてきた。サイードの「オリエンタリズム」概念と歴史記述の関係について概略した本で、正統派なポストモダン的歴史観を確認したい人にお勧め。
特筆すべきは訳の滑らかさで、日本語としてすらすら理解できる文章になっているのがとてもいい。
P19
しかし、言語のもつ「不安定さ」や「深層構造」をめぐる最近の論争とともに、歴史家はみずからの研究の認識論的な土台について懸念を持ち始め、文芸批評家は、歴史が想像力の世界にとっての安定した基盤として機能するという考え方について、全く確信が持てなくなってきた。
よく知られたことだが、言語の意味作用の力にかかると、学問的な言説を生み出せなくなる。
フランスの脱構築派が、歴史の意味を真に決定するものとしてのテクストの持つ言及性ではなくテクスト性を強調する英米の分析哲学のグループと一緒になって口当たりのよい思想の一派を生み出した結果である。
このような歴史哲学のような企ては「反実証主義的で、絶対の真理に対して非常に懐疑的なものとなる」のは納得なんだけど、この赤字部分が理解できない。80年代のフランス哲学と英米哲学の関係についてはちゃんと調べないといけない。